3年ほど前に梅原猛著「歓喜する円空」を知り合いの方に
頂き、パラパラと真剣に読まずに本棚に置きっぱなしになって
いました。今回、円空展に行き再度読み直して感銘を受けた
次第です。
 上真ん中、写真の像は「宇賀神像」(うがじん)です。
高さ19,8センチしかない小さな像ですが、デザイン的に素晴
らしくアップしてみました。宇賀神は日本古来の神で、頭が
老人で体は白蛇という姿です。「日本書紀」「古事記」にも
でてくる食物の神、宇釈之御魂神のことらしい。農作物の豊かな
稔りを願い、彫られたとのことです。

 上右の写真の像は「歓喜天立像(かんぎてんりゅうぞう)」です。
高さ13,5センチの小さな像です。今回の像は千光寺の秘仏で、7年に
1回しか開帳されないものだそうです。歓喜天は顔が象、体は人間と
いう姿です。関市の高賀神社にも歓喜天像があり、この像の台座には
「釜且 入定也」と刻まれています。「釜」には六十四の意味があり、
「且」には「しばらく」とか「かりそめに」という意味があるとの
ことなので、この言葉は「六十四歳にして、かりそめに入定する」と
いうことらしい。歓喜天立像は男女の和合の神、生命誕生の神である。
円空がこのように彫ったのは、入定と言ってもかりそめの入定で、
五十六億七千万年後までミイラになり、弥勒菩薩が衆生救済のため下生
してくるまで入定して心身を保ち、その手助けをしようとしたからに他
ならない。
 円空は元禄八年(1695年)七月十五日、入定した。円空、六十四歳の
時である。「千日行」により徐々に穀物を断ち、入定を遂げたようである。

以下、「歓喜する円空」より抜粋。
「円空は御法神を多く作って、日本の神々がすべて御法神となって仏法
を護ることを願ったが、以後、仏法を排除する神の学、国学というものが
起こり、明治維新を迎える思想の原動力の一つとなり、明治政府をして神仏
分離・廃仏毀釈の政策を採らしめた。まさに円空の期待に反して神が仏を滅
ぼしたのである。しかしその神は円空の言う、縄文時代の昔から日本にいる
神々ではなく、新しく作られた国家という神であった。実はその新しい神は、
仏とともに日本のいたるところにいた古き神々をも滅ぼしたのである。そし
てその新しき国家という神もまた、戦後を境にして死んでしまったのである。
こうして日本は世界の国々の中でほとんどただ一つの、少なくとも公的には
神も仏も失った国となったのである。 
 神仏を殺した罪は大きい。いろいろな祟りが今、たとえば国の指導者である
政治家や官僚の腐敗や青少年の恐るべき犯罪となって現れつつある。円空はこ
のような問題の根源がどこにあるかを像や歌で秘かに語っているように思う
のである。
 私はこの「円空論」を書きながら、心が清々しくなるのを覚えた。この清々
しい童心を失ってはならない。円空がひそかに語る言葉を、耳をそばだてて聞く
べきであると思う。」

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柴田 和光

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